建物を新築・取り壊す際に必要な登記

ここでは、建物をご新築されたケースなどを中心にどのような登記が必要になるか、また登記申請の流れをご案内します。

下の画像のように、登記簿は【表題部】・【甲区】・【乙区】の3部構成になっています。

登記簿(コンピューター式 ※画像はコンピューター式のものであり、実物とは若干異なる箇所があります。

【表題部】の登記を担当するのが、「土地家屋調査士」です。

登記簿(コンピューター式

【甲区】・【乙区】の登記を担当するのは、「司法書士」です。

登記簿(コンピューター式 登記簿(コンピューター式
ご注意

【表題部】の登記は「土地家屋調査士」が、【甲区】・【乙区】の登記は「司法書士」がそれぞれ本人の代理人として行うことに法律上規定されており、これ以外の者が手続を業務として行うことは、司法書士法もしくは土地家屋調査士法により禁じられています。

当事務所には土地家屋調査士がおりませんが、業務提携しておりますので、「表示の登記」手続のご依頼、ご相談またはご質問もお待ちしております。

表示の登記につきましては、現地の測量・調査のため、土地家屋調査士よりお客様にご連絡し、打合せの上、現地にお伺いすることがございます。

以下の項目に該当される方は、登記申請が必要になります。

土地家屋調査士による登記
1.土地が新たに生じたとき、建物を新築したとき、未登記の国有地の払下を受けたとき

⇒表示登記

2.土地が海面下に水没したとき、建物を取り毀したとき、震災によって建物が全壊したとき、火災によって建物が全焼したとき

⇒滅失登記

3.土地の地目を変更したとき

⇒地目変更登記

4.土地または建物の測量の結果、地積・床面積の数値に変更が生じていたとき

⇒地積・床面積の更正登記

5.1筆の土地を複数に分けたとき

⇒分筆登記

6.複数の土地を1筆にまとめたとき

⇒合筆登記

7.分筆の結果、建物の所在に変更を生じたとき、増築または改築の結果、建物の種類または構造もしくは床面積に変更を生じたとき、震災によって建物が半壊して、もしくは、火災によって建物が半焼して、法律上、建物と認められる結果に至ったとき

⇒表示変更登記

8.1個の建物を複数に分けたとき

⇒分割登記または表示変更登記

9.複数の建物を1個にまとめたとき

⇒合体登記

10.通常の建物を区分建物に変更し、または、区分建物を通常の建物に変更したとき

⇒表示変更登記

11.区分建物の底地を敷地権に変更したとき

⇒敷地権の登記

以上、1~11に該当されるお客様は、登記簿の表題部(下図参照)に登記、もしくは変更する必要があります。

登記簿(表題部)
司法書士による登記
12.土地または建物の所有権が、売買・贈与・相続・会社の合併などによって移転したとき
⇒所有権移転の登記
13.住所移転によってご住所が変わったとき、ご結婚等で氏名が変わったとき、会社の商号・本店が変わったとき
⇒登記名義人表示変更の登記

以上、12~13に該当されるお客様は、登記簿の甲区(下図参照)に登記する必要があります。

登記簿(甲区)
ご注意

以上の登記手続を放置すると、過料の対象となるだけではなく、後日その不動産を売却したり、その不動産に担保を設定する場合など、その登記の前提としてこれらの登記を要する場合があり、登記手続が大幅に遅れたり、登記手続に必要な書類が揃えられなくなることもありますのでご注意ください。


現在、金融機関等でお借り入れをされるにあたり、不動産を担保提供されているお客様は、
上記1~13のほか、
「債務者の住所・氏名または本店・商号を変更する」
…など、登記内容に変更が生じる場合は、予め金融機関に通知をしなければなりません。

POINT

~表示の登記と権利の登記が複合する場合~

  • 法律上、表示の登記は登記手続が完了した日が登記の日付
  • 法律上、権利の登記は登記を申請した日が登記の日付

そのため、表示の登記申請中に権利の登記は申請できません。

~建物滅失(取毀)登記 に関する必要書類~

A.建物滅失(取毀)登記 に関する必要書類

所有者が複数存在する場合は、全員の書類を要します。

1.所有者の印鑑証明書 各1通
3か月以内のもの
2.所有者の資格証明書または法人登記簿謄本 各1通
所有者が法人名義の場合のみ
3.所有者の委任状 各3通
実印で捺印
4.取毀業者の家屋取毀証明書
取毀業者の実印で捺印
5.取毀業者の印鑑証明書 1通
3か月以内のもの
6.取毀業者の資格証明書または法人登記簿謄本 1通
業者が法人の場合のみ / 3か月以内のもの
ご注意

担保設定済の建物の場合は、予めその「抹消登記」(所有者の委任状・担保権者の委任状および3か月以内の資格証明書・担保設定登記済証要)を申請してから「滅失登記」を申請するか、「滅失登記」に担保権者の印鑑証明書・資格証明書(いずれも3か月以内のもの)・承諾書を添付する必要があります。

所有者の住所・氏名または本店・商号が登記簿(不動産登記簿の甲区)記載のものと異なる場合、もしくは所有者が死亡している場合(法人が吸収合併されている場合)は、別途、戸籍謄本・住民票(本籍・筆頭者の記載要)・閉鎖法人登記簿謄本などの書類を要します。

取毀業者の書類が揃わない場合でも登記手続は可能ですが、登記官による現地調査が必要になり、法務局の予定次第で、手続が遅くなることもあります。

B.建物表示(新築)登記 に関する必要書類

新築の際の登記は、「表示登記」と「所有権保存登記」の2段階になります。前述のPOINTでもご案内しましたが、「表示登記」と「所有権保存登記」を同時並行で進めることはできません。

所有者が複数存在する場合は、全員の書類を要します。

B.1 表示登記の必要書類(登記簿の表題部に関する登記)

1.所有者の住民票 1通
所有者が個人の場合は世帯全員、世帯一部のいずれも可
本籍・筆頭者の記載不要
2.所有者の資格証明書または法人登記簿謄本 各1通
所有者が法人名義の場合のみ
3.所有者の委任状 各1通
認印(朱肉を用いるもの/シャチハタは不可)で捺印
4.施工業者の工事完了引渡証明書
施工業者の実印で捺印
5.施工業者の印鑑証明書 1通
3か月以内のもの
6.施工業者の資格証明書または法人登記簿謄本 1通
業者が法人の場合のみ / 3か月以内のもの
7.施工業者の工事代金領収書 一式
所有者宛てのもの/代金全額分でなくても可
8.建築確認通知書 一式
9.建築検査済証 一式
10.工事請負契約書 一式
業者が法人の場合のみ / 3か月以内のもの
11.底地の不動産登記簿謄抄本 各1通
コピーで可
12.底地の賃貸借契約証書 1通
借地の場合
13.新築建物の固定資産税評価証明書 1通
登記申請する年の1月1日時点で、既に建物が存在している場合
ご注意

表示登記につきましては、土地家屋調査士が予めお客様と打合せの上、現地を調査(測量)し、建物図面を作成の上、所有者の捺印(実印)を頂きます。

表示登記と所有権保存登記を併せてする場合、住民票は表示登記用と所有権保存登記用の計2通を要します。

工事請負契約書・建築確認通知書に記載された建築主の住所・氏名または本店・商号が変更している場合もしくは所有者が死亡している(法人が吸収合併されている)場合は、別途、戸籍謄本・住民票(本籍・筆頭者の記載要)・閉鎖法人登記簿謄本などの書類を要します。

建物が区分建物(階層ごと、または、部屋ごとに区分して登記する建物のことで、マンションなどがこれに該当します)である場合などには、別途、書類を要する場合がありますので、担当の土地家屋調査士の方にお問い合わせください。

施工業者の書類・工事代金の領収書などが揃わない場合でも登記手続は可能ですが、登記官による現地調査を要し、法務局の予定次第で手続が遅くなることもあり、また、所有者の実印を捺した上申書および3か月以内の印鑑証明書が必要になることもあります。

増改築による表示変更登記に関する必要書類も、表示登記に関する必要書類とほとんど同じです。

B.2 所有権保存登記の必要書類(登記簿の甲区に関する登記)

1.所有者の住民票 1通
所有者が個人の場合は世帯全員、世帯一部のいずれも可
本籍・筆頭者の記載不要
2.所有者の資格証明書または法人登記簿謄本 各1通
所有者が法人名義の場合のみ
3.所有者の委任状 各1通
認印(朱肉を用いるもの/シャチハタは不可)で捺印
4.建物表示登記済証
5.建物の登記簿謄本 1通
コピーで可
6.種類構造証明書 1通
建物の「種類」が2種類以上の場合のみ
7.住宅用家屋証明書 1通
税の軽減が受けられる居住用の建物の場合
8.建物の固定資産税評価証明書 1通
登記申請する年の1月1日時点で、既に建物が存在している場合
ご注意

建物表示登記の後に、所有者の住所・氏名または本店・商号が変更している場合もしくは所有者が死亡した(法人が吸収合併されている)場合は、別途、戸籍謄本・住民票(本籍・筆頭者の記載要)・閉鎖法人登記簿謄本などの書類を要する場合があります。

建物が敷地権付マンション(不動産登記簿上、マンションの底地の利用権が建物と一体化して証明されるマンション)である場合は、別途施工業者の承諾書などの書類を要します。

所有権保存登記については、表示の登記と異なり、所有者に登記申請の義務はなく、罰則もありませんが、登記手続をせずに放置すると、第三者に対抗することも、担保設定登記をすることもできず、また税金の軽減を受けられる建物の場合、新築または購入後1年以内に登記手続をしないと、軽減の適用は受けられなくなりますのでご注意ください。

ご案内

なお、詳しいことにつきましてご不明な点等がございましたら
こちらからお問い合わせください