競売物件の購入を検討の方へ

競売物件というと、不法占有者がいて占拠されているなど、手続に困難が伴うイメージが強く、なかなか手が出しにくいきらいがありますが、そんな背景から、ほとんどの競売物件が、市場価格よりも価格が安く設定されており、それが魅力で、興味をお持ちの方も多いはずです。

しかし、競売手続は、一般の不動産取引とは異なり、諸手続をお客様(落札者)ご自身で行う必要があります。また、前述のように手続に困難が伴うケースが多く、これが、「(競売物件には)素人が手を出すな!」…と言われる所以でもあります。

そこで、当事務所をご利用下さい。競売物件に関するサポート、アドバイスも行っております。

~手続の流れ~

1.売却される不動産の公告

裁判所から、競売物件が公告されるまで、購入する不動産を検討します。

2.裁判所で期間入札スケジュールの確認

たいていの裁判所は1週間~1か月の入札期間を設定しています(「期間入札」)。

裁判所の閲覧室で競売物件の「物件ファイル」を閲覧します。

  • 裁判所で閲覧出来る「3点セット(物件明細書、現況報告書、評価書)」のほかに、法務局(登記所)で登記簿等登記簿等を閲覧するなど、権利関係をこの段階で調査しておく必要があります。記載漏れ等も多く見られるので「3点セット」を過信しないこと。
  • 書類だけではなく、実際に現地に足を運び、自分の目で物件を確かめる必要があります(敷地内や建物内部には入れません)。
  • 高価な買い物になるので、失敗は許されません 「3点セット」はあくまでも参考程度にとどめ、ご自分で充分に調査しておく必要があります。
ご注意

競売物件購入にあたり、金融機関の融資をご利用される方は、金融機関に相談しておきましょう。

金融機関によっては競売物件に関しては融資しない、もしくは、最低売却価格の7割程度までしか融資しないところもあるので、予め絶対に相談が必要になります せっかく落札できたのに、ローンの利用が出来ないがために、購入を諦めざるを得ない場合でも、裁判所に納めた保証金は返還してもらえませんのでご注意下さい。

3.入札

公告に記載された最低売却価格以上で入札する必要があります。

入札は、訂正したり取り消したりすることがないので、注意が必要です。

ご注意

入札と同時(もしくはそれ以前に)保証金を振り込みます。

通常は最低売却価格の20%ですが、詳しい保証額は公告されます。

4.開札

最高価買受申出人(落札者)が決定します。

他の入札人には保証金が返還されます(10日前後の日数がかかります)。

5.売却許可決定

裁判所が、最高価買受申出人について手続などを審査した上、不許可事由がなければ、1週間後に売却許可決定が出されます。

6.売却許可決定確定

確定すると、代金納付期限通知書が、買受人に送られてきます。納付する代金の金額と、用意すべき書類が指示されています。

7.代金納付

競売物件購入にあたり、金融機関の融資をご利用される方は、地裁競売係に書面で申し出る必要があります。

8.所有権移転登記

不動産の所有者の名義を移転後の権利者に変える名義のこと。

9.不動産の引渡

不法占有者がいる場合は、引渡を求めなくてはなりません。

・不動産引渡命令申立

競売手続で不動産を買い受けても、所有者や占有者などが引き渡さないため、不動産の利用等ができない場合などに、代金納付の日から6か月以内に引渡命令の申立てをすることができます。引渡命令が発令されると、最終的に執行官に申立て、不法占有者などを強制的に排除することが出来ます。

明渡命令(通常訴訟)とは異なり、引渡命令は競売物件ならではの簡易・迅速な手続であり、コスト的にも有利です。

・強制執行

強制執行 相手方に引渡命令が送達し、引渡命令に対する不服申立(抗告)がなければ、1週間で確定し、強制執行ができます。

ご注意

買受人が引き継がなければならない権利がある場合もあります(登記簿謄本と、裁判所備え付けの3点セット中、物件明細書で確認/書面だけではなく入札前に予め現地に足を運び、ご自分の目で必ず確認する必要があることは、前述しました)。

10.完了

建物へはこの時点で初めて内部に入れるようになります。もちろん、内装工事もこの時点以降からでないと着工できません。

~権利関係について~

下記は競売物件取得後に、買い受け人が引き受けなくてはならない権利の代表的な例です。

・賃借権(先順位)あり

物件明細書に、「賃借権(先順位)あり」と記載がある場合、抵当権設定より以前から設定されている賃借権は、競売によっても消滅しません。買受人が引き継ぐことになります。

・賃借権(後順位)あり

物件明細書に、「賃借権(後順位)あり」と記載がある場合、原則として、抵当権設定より後に設定された賃借権は、競売によって消滅します。

ただし、短期賃貸借権のうち、実体(占有)のないもの、抵当権と併用のもの、債権回収が目的のもの…以外は、買受人に対抗できますので、引き継がなくてはいけない場合もあります。この場合は、民法395条・602条の規定にあるように、土地は5年間、建物は3年間、賃借人は権利を保有できるため、その期間は貸すことが条件になります(先順位の場合とは異なり、期限後は賃借人が更新を主張できません)。なお、平成16年4月1日以降は取り扱いが一部変更になります。詳しくは下記をご覧下さい。

POINT

・担保物件及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律の施行について

平成16年4月1日より、上記法律の施行に伴う短期賃貸借制度の廃止と明渡猶予制度新設により、競売による家主交代後6か月間、引き続き居住を継続できるようになりました(平成16年4月1日以降に賃貸借契約を「新規」に交わした場合に限る/平成16年3月31日以前からの短期賃貸借契約を4月1日以降に「更新」した場合は、適用されません)。

競売落札者には、従来のように最長で3年近くも居住者や不法占有者に占有されることがなくなり、物件のリフォーム等の工事に取りかかりやすくなりました。そして、旧所有者が返還すべき敷金その他を事実上肩代わりする必要性がなくなりました。

・敷地に法定地上権成立

物件明細書に「敷地に法定地上権成立」と記載されている場合、 建物が競売対象・底地が競売対象外の場合、建物の利用権利を確保するために成立してしまいます。このような物件を落札した場合、建物の所有権はお客様名義になり、所有権を取得できますが、土地はあくまでも他の方の所有ですから、地代を請求されれば支払を拒むことができません。このように、土地または建物のどちらか一方のみが競売対象である場合には、注意が必要です

・建物のために法定地上権成立

物件明細書に「建物に法定地上権成立」と記載されている場合、土地が競売対象・その土地上に競売対象外の建物が存在する場合、その建物の利用権利を確保するために、地上権が成立してしまいます。

・市街化調整区域である

物件明細書の備考欄に「市街化調整地域である」との記載がされている場合、当該自治体にもよりますが、建物の建築が出来ないことがほとんどです。従って、記載がある場合は入札前に、自治体に問い合わせる必要があります。なお、これに関連して、接道条件(「接面する道路の幅は*メートル」など)の記載がある場合は、セットバックする必要が発生する場合もあります。

なお、当サイトではこちらでも競売物件ご購入の際の注意点をご紹介しております。

…以上、物件明細書から読みとれる買い受け後の主な権利関係について記載しましたが、競売物件は書類上には現れない問題を抱えていることが多いので、必ず現地調査をして、買い受け後の権利関係だけでなく、取得時の明け渡しの問題を整理しておく必要があります。

競売物件の取得が、一般の不動産取引と異なる点は、権利関係の複雑さがもたらす、明け渡しの問題にあります。昨今では、マスコミでも採り上げられることが多くなり、皆さまも「占有屋」などといった言葉を、一度ぐらいは耳にしたことがあるかもしれません。また、前所有者も、たいていの場合は明け渡しを希望しているわけではないので、最終的には、早期解決を図りたいお互いの心理から、根拠のない法外な要求をされるなど、競売の詳しい知識がないと、太刀打ちできないこともあります。

ご案内

なお、詳しいことにつきましてご不明な点等がございましたら
こちらからお問い合わせください