会社役員

~株式会社の役員を減らしたい時、任期を伸ばしたい時のご注意~

平成18年5月1日に会社法が施行されて5年余り、以前の商法の規定と現在の会社法の規定を混同されている方は少なくありません。

株式会社には、最低限、株主総会と取締役1名以上を置けば設立することができますが、既存の株式会社について、取締役1名を残して他の役員が辞任するだけということができるかと言うと、他の役員の辞任登記だけでは手続ができない場合があります。

また、株式会社の役員の任期は、最長で10年まで伸ばすことができますが、既存の株式会社について、取締役の任期を2年より長く、監査役の任期を4年より長く、伸長できるかと言うと、それだけでは済まない場合があります。

株式の譲渡制限の規定の登記がない株式会社を公開会社と呼びますが、公開会社は取締役会を設置しなければなりません。

取締役会設置会社は、取締役3名以上、監査役1名以上を置かなければなりません。

また、公開会社は役員の任期を伸長することができません。

一般に公開会社と言うと株式市場に店頭公開している大会社を想定しますが、ここで言う公開会社とは株式の譲渡制限の規定の登記がない株式会社を指します。

会社法施行以前に設立された株式会社の多くは株式の譲渡制限の規定の登記がありますが、昭和41年7月1日に施行された商法改正以前に設立された株式会社の場合、その後で株式の譲渡制限の規定を設置する登記をしていない限り、株式の譲渡制限の規定の登記はありません。

定款で株式の譲渡制限に関する規定を定めることが義務付けられたのが、この商法改正の時でしたが、古くからある株式会社や、古くからある株式会社を引き継いだ株式会社の場合、株式の譲渡制限の規定の登記があるか否か、確認してみましょう。

取締役3名、監査役1名の公開会社が役員を減らすだけの場合、株式の譲渡制限の規定の設置、取締役会設置会社の定めの廃止、もしくは監査役設置会社の定めの廃止を要する場合があります。

また、公開会社が役員の任期を伸ばしたい場合は、株式の譲渡制限の規定の設置を要します。

いずれの場合も定款変更の決議を経て、その旨の登記申請手続も必要になりますので、役員変更だから登録免許税が1万円、役員の任期は登記事項ではないので登記申請手続が必要ではない、ということでは済みません。

ご案内

なお、詳しいことにつきましてご不明な点等がございましたら
こちらからお問い合わせください