根抵当権・抵当権設定の際のご注意

(根)抵当権(抵当権と根抵当権を併せて(根)抵当権と表記します)を設定する際の、(根)抵当権設定契約証書について、注意点をご紹介します。

・抵当権設定契約証書の「借用金額」、根抵当権設定契約証書の「極度額」の欄の記載が訂正されている場合

不動産登記法上、問題はありませんが、抵当権設定契約証書における債権額ならびに根抵当権設定契約証書における極度額につきましては、(根)抵当権設定者にとっては最も重要な部分ですので、万一将来訴訟になった場合、債権額もしくは極度額の部分について紛争を生じた場合、この部分に訂正があり、契約当事者の訂正印がない場合、もし借用証書も同様な訂正をなさっている場合は不利な判決が下される可能性も考えられます。

実務上、如何なる契約証書においても金額の記載の訂正には契約当事者全員が直接訂正印を捺す慣習がございますので、今後、借用証書または(根)抵当権設定契約証書などにおいて金額の訂正を要する場合には、契約当事者全員の訂正印を、欄外の訂正印の他に直接訂正箇所に捺すことをお勧めします。

なお、同上の理由により、砂消し、修正液の使用も用紙の改竄と見倣され、契約当事者または委任者の意思に基づく訂正とは見倣されません。ご注意下さい。

(根)抵当権設定契約証書に、スタンプによる記名がなされている場合

個人の場合で、住所・氏名の自署欄がスタンプにて記入されていても、登記または裁判もしくは金融実務上、契約証書または委任状などの書類の記載につきましては、記名および押印でも法的には問題ありません。

ただ、万一(根)抵当権設定者との間に紛争が生じた場合、記名よりは署名の方が証拠として強いため、自署および押印を求めるのが通例です。

ちなみに、法人については社判を用いる慣習がありますので、スタンプによる記名でも問題ありません。