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抵当権よりも後に設定された賃借権について、現在は建物について3年の短期賃貸借が認められていますが、この制度を悪用し、競売手続の妨害を行ったり、いわゆる立退料のような金銭を要求してくる者がおり、その対処が急がれていました。

そこで、平成15年8月に改正民法が公布され、短期賃借人に対する保護が撤廃されることになりました。公布後1年以内に新法が施行されますので、施行後は抵当権よりも後に設定された賃借権について、賃借人は買受人に対抗できなくなります。ただし施行以前に設定された賃借権については、適用がありません。

賃借人は明渡しまで6か月間の猶予期間が与えられますが、賃借人はこの猶予期間中、買受人に対して賃料相当額の負担を強いられ、賃料相当額につき1か月以上支払いが滞るようであれば保護されず、引渡の対象となります。

なお、改正法施行後でも、抵当権よりも後に賃借権の設定登記をし、先順位の全ての抵当権者の同意を得て、同意した旨の登記をすれば、その抵当権者のみならず、競売買受人についても対抗できるものとされ、賃借人の地位を保護する制度も新設されます。

(以上平成15年10月記)


−担保物件及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律の施行について−

平成16年4月1日より、上記法律の施行に伴う短期賃貸借制度の廃止と明渡猶予制度新設により、競売による家主交代後6か月間、引き続き居住を継続できるようになりました(平成16年4月1日以降に賃貸借契約を「新規」に交わした場合に限る/平成16年3月31日以前からの短期賃貸借契約を4月1日以降に「更新」した場合は、適用されません)。

上記のケースを、賃借人と競売落札者の視点から見てみましょう。

−賃借人の方は−

従来のように賃貸借契約の形態によっては、競売で家主が交代したことにより、賃借人が直ちに立ち退きを迫られることがなくなった

賃借人は、旧所有者に敷金の返還を請求することになった

⇒このことは、敷金の返還が困難になることを意味します。なぜなら、旧所有者はというのは、抵当権が実行され競売に出されたぐらいですから、返済能力に乏しい状況にある場合がほとんどだからで、敷金の返還は事実上不可能であると考えた方が良いでしょう


−競売落札者は−

従来のように、最長で3年近くも居住者や不法占有者に占有されることがなくなり、物件のリフォーム等の工事に取りかかりやすくなった

旧所有者が返還すべき敷金その他を事実上肩代わりする必要性がなくなった

(以上平成16年5月補遺)