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▼ 事務所での研修を終えた新人所員の競売体験記をリアルタイムで連載をします。


−平成15年3月17日−

 競売に関する事務所での研修も終え、参考文献も読破した。戦力として現場での実践を積む準備もできた・・・と思う。

そこで、本日公告された競売情報をもとに、めぼしい物件があるかをインターネットで探してみる。2・3の条件にあった物件を見つけ、報告すると、閲覧開始日の24日に情報を収集してくるようにと、命じられ、同時にレポートを事務所ホームページに掲載する旨を告げられた。百聞は一見にしかず!とはいうものの・・・。まぁ、たとえ失敗をしたとしても、きっと誰かの役には立つだろうと、半ば開き直り腹を括る。




−平成15年3月18日−

現実の物件をとにかく一度見ておこうと思い、現地へ行ってみる。インターネットでの閲覧開始前の情報しかないため物件を特定するのは簡単ではなく、地番とインターネットに掲載されていた写真を頼りに周辺をうろうろしてみる。心配したとおり、近所の人たちに、いぶかしがられるが、「分かりませんでした」と帰るわけにもいかず調査を続行、やっと見つけ出す。物件の印象なども書き込もうとしたが、物件を特定し得るような記載は入札に影響が出るとの理由で却下される。「競争」であるとの認識が甘かった・・・。


−平成15年3月24日−

 ついに閲覧開始の日である。目黒にある東京地方裁判所民事第21部に向かう。山手通りを大鳥神社で右に折れ、巨大な電波塔を正面に見ながら車を走らす。郵便局を通過した次の大きな交差点を左に曲がると、直ぐにそれらしき建物が目に入った。案内にも記されているが、なるほどたしかに周辺に駐車場がない。要領不案内でどれほど手間取るか分からないので、せめて車を安心できる場所におさめてから、作業に入りたいと思い、執拗に駐車場を探し回る。3周ほどまわったのち自力探索を放棄し警備員に尋ねる。スーパーダイエーの駐車場を教えてもらう。平日であれば、千円以上の買い物で、2時間止められる。帰途に、昼飯と缶コーヒーをダイエーで調達すれば一石二鳥と決め込む。5分ほど歩くが、徒労の駐車場探しを思えば、カルい、カルい。

 役所独特の機能に徹した玄関を入り、突き当たりを右に折れればすぐに物件明細書などの閲覧室である。(なぜか右に15メートルとの表示があるが正確なんだろか?)10時半過ぎであったため混雑しているのではないのかと心配したが、20人ほどが整然と閲覧をしているにとどまった。建物が新しいこともあるのだろうが、想像よりも明るく且つ整頓されており、イメージしていた喧騒はない。

 目当ての事件番号を記載した申請書を係りの人に手渡せば、その場で3点セットが入ったファイルを出してくれる。(無料)資料を持ち帰る事が目的であるため、直ぐにそのカウンターで番号札を受け取り隣接するコピー室へ向かう。そこにも係りの人がいるが、コピーは自分でするシステムのようである。1枚40円であるが、数十枚もコピーをすると千円札が数枚飛んでいく。後に事務所で、インターネットでとれるものまでコピーをしたことをたしなめられる。インターネットでは、個人名や登記簿は公開されていないがそれ以外の部分は公開されている。(BITで検索可能)。実際に必要なのは10枚もない。

 「公開前に申し立てれば予めコピーをしておいてくれるサービス。」について係りの人に聞いてみた。そのサービスは、霞ヶ関に出頭して申し立てるものであり且つ受け取りも後日に出頭してしなければならないそうである。又、謄写範囲も、内部写真や不動産登記簿謄本などは省略されるとのことである。2回の出頭や範囲の限定などを考えると、それほどの利用価値があるとは思えない。

 2階の執行官室に立ち寄り入札の申込書を受け取り、最新の登記簿謄本を取りに登記所へ向かう。


−平成15年3月24日 登記所にて−

 最新の登記簿謄本をあげてみる。先刻、裁判所で複写したものと内容は変わっておらず、まずはひと安心。なお、競売物件の謄本は権利が錯綜したものもあれば、意外とすっきりしたものもある。すっきりしているからといって安心はできないのは、単一の債権者などのときは、債権者(銀行など)が関連会社などを介して自己競落をすることがあり、価格がつり上がるからである。本項でもっと詳細に権利内容を記載したいところであるが、そのことが物件の特定につながり競売に影響を与える可能性があるために(本気で落とすつもりでやれ、との事務所よりの命令である)、その記載は避けなければならないことは、前記のとおりである。(具体的な謄本記載事項について疑問があれば当事務所に直接お電話ください)。

 帰る途中で、現地の不動産屋さんを覗き、当該地域の賃料のリサーチ。概ね、予想していた金額である。ついでに、競売物件の所有者に挨拶をして様子伺いをしようかと、事務所に相談の電話を入れるも、「時期尚早」と却下。


−平成15年3月26日 事務所にて−

 集めてきた、資料をもとに当該物件の競落後のキャッシュフローを作成する。資料をもとに、初年度にかかる税金などの諸経費、その後のランニングコストを計算して、賃貸収入から控除後、手元にいくら残るかの、表である。顧客の最大関心事である。普通市場においてもかかる取得費とは別に、明渡しの執行などの費用も算定しなければならないのが、通常物件との違いである。しかし、一時的な支出であり、保有しての利回りや転売益は普通市場物件に比べれば大きなメリットがある。今回の顧客は利回りを目的としているので、保有後のキャッシュフローを綿密に作成する。

 利回りといってもその物件の種類(店舗であれば権利金によって元本を早期に回収可能)や場所・築年数によって千差万別である。とりわけ、古い建物であればより高い利回りを顧客は期待するのである。最近は、古くても高い利回りで資金を早期に回収をしたいとの希望が多い。今後の不透明感からのリスクの早期回避の念が強いのだろう。


−平成15年3月31日 事務所にて−

 顧客と面会する。はじめに、資金提供のタイミングについて確認をする。競落できたとしても残金を期日までに振り込めなければ、保証金を無駄にしてしまうからである。金融機関からの借り入れは綿密な事前確認が不可欠となる。今回の顧客は、手持ち資金で全額賄えそうなので、その心配はないようである。

 キャッシュフローを熟読し、予め自分が出しておいた条件をクリアしていることを顧客は確認をする。その後、私から現地の様子や周辺地域の環境などを説明する。明渡しについての段取りも説明をする。引渡命令の可否・執行費用やそれを前提とした交渉等を説明。条件をクリアしていることもあって顧客は満足そうである。

 「では、入札の手続きを進めましょう。」との確認をする。「この物件で進めていただいて結構ですが、来月の3日に公告される物件も見てみたい。」と顧客の希望である。顧客は、早期に条件をクリアした物件が見つかったことから、もっといい物件がでるかもしれないと、考えたようである。そこで、3日の公告の物件をチェックした上で、最終決定をすることで、本日は散会。


−平成15年4月3日 事務所にて−

 本日公告された物件を調査する。物件明細書・現況調査報告書・評価書の3点セットは閲覧開始期間(公告期間より1週間後)より公開されるが、物件の概要と最低売却価格等はインターネットで公告と同時に公開されるため、最低限の概要は公告の段階で掴めるのである。事務所では、お客様より「地域」「予算」「利回り」「築年数」「目的(賃貸・転売)」「資金計画」などの条件を予め提出して頂いており、それによって検索・調査・提案をしていくのである。よって、顧客条件への該当の有無は前記の最少情報で判断可能であり、その該当を確認後調査を具体化するというシステムである。3月末に最終決定を留保したお客様の、提出条件にあったものを探索し、3件リストアップする。他の点では、クリアできているが、規模の点で「そのものズバリ」というものは今回はないので、前回提案をやはりおすすめしようと、決める。しかし、リストアップした位の大きさの規模を希望されるほかのお客様もいらっしゃるので、決定後速やかに他のお客様に提案できるように事務所で準備することを決定する。

 夜、決定留保されたお客様に連絡をとり、4日に事務所で打合せをすると約束をする。




−平成15年4月4日 事務所にて−


お客様に面談し、昨日リストアップした3件の説明をする。お客様の希望よりも大き目のものと小さ目のものと双方を示した。やはり、その点で躊躇しているようなので、前回の物件を再び詳しく説明をする。競売物件は普通市場物件と比べ高い利回り(元本に対する家賃収入)が可能であることから、利回り期待が強すぎると、得てして予定したものよりも大きな規模の買い物をしたくなるものである。しかし、競売物件といえども取得税などの諸経費は普通市場物件と変わらないので、中途より規模を大きくすると思わぬところで計画が頓挫してしまうことがある。そこで事務所としては、冷静な段階で計画された条件に添った形での実行をおすすめすることにしている。「次の機会もあるでしょうから。」とお客様にも御納得いただき、前回提案の物件で進めることを決定する。週明けに現地に同行し、競売の取下げがないことを確認後買受申出保証金を振り込むことを決めて散会。


−平成15年4月14日−

 朝一番で、競売物件の取下げ情報をチェックし、目指す物件が取り下げられていないことを確認する。お客様とともに銀行へ赴き、予め裁判所より交付を受けた振込用紙で指定口座へ、買い受け保証金を電信扱いで振り込む。税金納付と異なり振込み手数料がかかることに注意を要する。入札は、郵送でも可能であるが、入札期限ぎりぎりの場合は到着が確認できないので、当事務所はなるべく出頭により札を入れることにしている。かかる方法をとることにより、最終の取下げ情報をチェックすることが可能となり、極力、無駄を省けるからである。取り下げられれば、保証金は戻るが、その間他の物件への保証金振込みに支障をきたすことがある。

 蛇足であるが、他の顧客からの依頼で「親の経営する会社と子の個人名義での共同入札に許可がでるか否かを窓口で問い合わせたところ、人格の種類が異なる(法人と個人)ので無理である。」との回答である。その理由は不明であるが、精算処理を簡易にするために単独入札が大原則であるとのことであろう。未だ、流動化への検討事項は残っていることを感じた。


■平成15年4月18日配信分


 今週の月曜日(4月14日)に、入札を済ませたことは前回記した。後は、週明けの開札を待つばかりである。

 この間を利用して、当事務所のお客様の登録(無料)方法をご案内したい。

 当事務所では予め登録をしていただき、東京地方裁判所における競売物件の情報を常にチェックをし条件に適合するものを捜すのである。

 お客様の条件に合うものが出た段階で、その条件を出したお客様に連絡をする方法をとるので、登録後何ヶ月も連絡をできない場合もあれば、直ぐに連絡できる場合もある。

 登録は、一度来所をして頂いて競売についてのご説明をさせてからしていただくのが望ましいが、競売についての知識を既にお持ちでお忙しい方は、連絡先さえ明確にしていただければ電話03(3590)6060)ないしメール(yamasaki@higashiike-office.com)でも可能である(詳しくは、下記のお問い合わせボタンからどうぞ)。

 その際には連絡先に加えて、「予算」「地域」「購入目的」「築年数」「期待利回り」「その他の条件」を明示して頂いている。

 当事務所は、競売物件に不可避の種種の煩雑さ(競売物件が普通市場物件よりも安い一因である)をフォローするが、不運にも競落できなかった場合には手数料は頂かない。 お客様の希望条件にかなう競売物件を競落し所有権を取得された際に(買い受け人となり代金を納付するとき)、普通市場物件における媒介報酬と同額の手数料(入札金額の3%+6万円)を報酬として頂くこととしている。


−平成15年4月18日−

 裁判所の情報で、入札していた物件が取り下げられたことを知る。即、お客様に連絡をとる。電話の向こうからも落胆は伝わるが、これが競売市場である。ひとしきりすると、既に振り込んだ保証金(最低売却価格の2割を原則とする)の取り扱いが気がかりとなる。入札手続後の取下の際の、返金は、保証金振込み後入札前の取下げと違い組み戻しの手続きが要らないぶんむしろ簡単である。要するに、開札期日後に予め届け出ておいた口座に振り込まれてくるのであり、こちらからのアクションは特に必要ないのである。ひと安心したところで、お客様は「早急に他の物件の情報を精査し準ずる提案して欲しい。」と依頼される。

 当事務所は物件主義であり、物件の条件から逆に登録されたお客様を検索する手法をとっているが、(故に、登録された条件に合わない提案はしない。)今回のような場合(入札後の不成就)には、お客様の条件に併せて物件を検索する。(結構このケースも多い)事務所でピックアップしてある競売物件リストを最初から検証しなおす作業に入る。




−平成15年4月22日−

 リストの中から、一つだけ条件に合致しているものを捜し出す。お客様に電話連絡をして、概要をお伝えすると、情報を収集して欲しいとのことである。改めて情報を収集整理して架電することを約する。


−平成15年4月23日−

 裁判所で情報を集めるとともに、現地に赴きデジカメで現場撮影。近隣の不動産屋さんへ寄ってのリサーチなどは前回のときと同様丁寧に記録する。


−平成15年4月25日−

 午前中お客様と面会し、前日24日に整理しておいた資料によって物件の詳細を説明し、入札の方向で合意する。「今度こそ」の意気込みだが、競売市場で一番大切なのは冷静に深追いしないことである、とお客様とともに確認。入札までの手続きは、前回と同様なので、その後の手続きに入るまでの期間を利用して、次回は「予算」と「入札価格」について記すこととする。


−「予算」について−

予算が仮に3000万円あったからといって、3000万円で入札をしたら大変なことになる。競売物件も普通市場物件と同様の取得経費がかかるのでその金額を予め控除した額で入札しなければ。後に慌てて金策に走ることになりかねない。当事務所でお客様説明に使用するソフトで、予算3千万円の場合をシミュレートしてみると、概算で以下のようになる。

予算   \30,000,000
     
リフォーム代金5%   \1,500,000
取得税   \486,000
取得拠出可能額の9割のうち、比率は土地を0.6、建物を0.3(固定資産税評価)と想定する    
内訳 土地 \243,000
  建物 \243,000
登録免許税   \243,000
内訳 土地 \162,000
  建物 \81,000
固定資産税・都市計画税   \459,000
手数料   \870,000
明渡費用(引渡命令等)   \810,000
初年度経費   \4,368,000
      
入札可能価格   \25,632,000


次回は、「利回り」のシミュレートを記すこととする。


−利回りについて−

 前回予算を3000万円とした場合の入札可能価格をシミュレートしたが、その物件を入札価格の12%の家賃(この利回りが競売物件一番の魅力である))で賃貸した場合の経費控除後の金額をシミュレートすると、概算で以下のようになる。

入札価格 \25,632,000
家賃 \3,075,840
月額 \256,320
   
継続経費  
固定資産税/都市計画税 \459,000
共益費・修繕費 \307,584
小計 \766,584
   
経費控除後収入 \2,309,256


−シミュレーション(40歳モデル)−


今回は、手持資金700万円のお客様が、借入金2800万円、年利2%の15年返済の借入れをおこして12%の利回り物件を競落した場合をシミュレートする。仮にお客様の年齢は40歳とする。

手持資金 \7,000,000
借入金 \28,000,000
予算 \35,000,000
リフォーム5% \1,750,000
取得税 \567,000
取得拠出可能額の9割のうちの土地を6割、建物を3割(固定資産税評価額)と想定する
内訳 土地 \283,500
建物 \283,500
登録免許税 \283,500
内訳 土地 \189,000
建物 \94,500
固定資産税・都市計画税 \535,500
手数料 \1,005,000
明渡費用 \945,000
初年度経費 \5,086,000
購入可能価格 \29,914,000
家賃(12か月分) \3,589,680
月額 \299,140
継続経費
固定資産税・都市計画税 \535,500
共益費・修繕費 \358,968
小計 \894,468
経費控除後収入 \2,695,212
返済 15年(年2%) \2,100,000
返済後残額 \595,212
55歳より(返済終了後) \2,695,212


−4月30日 東京都庁にて−

 競売市場で一番大切なのは冷静に深追いしないことである、以前記載した。競売市場では退く勇気も時として必要である。

 今回の物件は利回り的には申し分のないものであり、近くに駅が出来たばかりでかつ高層マンションも近辺に建築中と将来性もAランクにある。しかし、一つだけ気にかかるのが物件明細に、「一部道路計画地」と表示されている点である。

 道路計画地は、基本的に非堅固建物(木造・軽量鉄骨)で2階までの建築しか認められないが、それと違う建築が為されているケースが少なくないので、周りの建物と遜色なく外見からだけでは見分けがつかない場合が多い。道路計画地といえども直ぐに買収されるとは限らず、以前扱った物件では、戦前から指定されていながら未だに買収の予算がついていないというものもあった(50年以上!)。このことから、指定されたとしても他の土地と同様に活用をしようとする人が多い。故に、単に道路計画地というだけで対象から外す必要まではないが、買収の時期は必ず管轄の役所で確認をすべきである。本件は、都の担当者によると、買収は既に始まっており早ければ2年ぐらい遅くても5年以内で買収する予定であるとのことである。

 本件のお客様は長期保有による資産運用を目的としているので、この段階で対象から外さざるを得ない。

 またも、振り出しに戻る。


−5月1日 事務所にて−


 ゴールデンウイークの真っ最中にも拘わらす出所してお客様の条件にあう物件を捜す。入札後に競落できない場合には、お客様は既に資金を用意している場合が多いため、早期の再提案が要求されるのである。

 今回は少し条件を代えて、小規模のものを複数入札してみる方向も検討するようにお客様より、新たな注文を頂いた。そのほうが選択肢が広がると考えてのことであろう。その他の条件は従来どおりのものとして検索すると、多くの物件が該当する。規模として小さいものほど最低競売価格より入札価格が高騰するであろうことを説明して、とにかく今回はその線(多数入札)でいくことを確認する。調査は従来どおりの手順を多数の場所で行なうが、基本的に遠隔地ではないので、迅速に処理が可能であることを告げる。


−5月14日−


小額の物件を4件入札していたが、1件が取り下げられ3件が他の入札者に落ちてしまった。前回も記したが、小額物件のほうが最低競売価格と実際の売却価格が乖離する度合いが大きい。よって最低競売価格に相当程度色をつけたつもりでも、他の入札者に取られることはままある。しかしそれを見越して、何倍もの価格で入札する度胸も(自分のお金であればともかく・・)ない。結果として競落確立は低くなる。(競合数も多いのが通常)

このように最低競売価格に一定金額を加算する方法を当事務所では加算型と呼んでいる。競売市場で「最低競売価格に**%加算して入札するのがいい。」等というのもこの意味では加算型である。この方法で落とすことが出来れば、かなりの高利回りが期待できる一方で、小額物件で競合が多いケースでは競落確立は低い。(逆に高額物件や競合が少ないことが予想される物件では有効。)

競売市場は、相手(他の入札者)があることが前提であるので、それらに勝たなければ入手は出来ない。かといって、深追いして高額で掴んでしまっては元も子もない。そこで、「予算」「期待利回り」などの条件を確保した上で入札価格を決定する方法があり、当事務所では逆算型と呼んでいる。その要素は多岐にわたり急を要する場合にも対応できるようにシステムを組んである。お客様のその物件に対する思い入れによってはその条件を緩和することによって、瞬時に価格を変更できるようになっており、思いに対応した競売確立に操作が出来る。(無論100%はありえないが)


−5月14日(その2)−

 お客様に逆算型の入札価格決定方法を説明をする。逆算型でも、要望は叶うわけであるが、お客様からしてみれば「+α」の部分も捨てがたいのである。「+α」を諦めることにより入札確立が上がることはお客様も承知の上であるが、即断は難しい。予想されたこととはいえお客様は競落可能性を今日まで信じていたのであるから。そこで、今一度競売物件を見直した上で競合の可能性や価格を検討した上で再考することに決まる。個人的には私は逆算型には慎重である。「もし、競合者がいない場合にお客様に高値を恨まれやしないか?」と不安だからである。しかし、事務所では「いつまでも競落できないで逸失利益を増大させるとお客様に迷惑がかかる、速やかに家賃の上がる物件を入手することがお客様の利益に繋がる。」との考えで、お客様に相談しながらその手法をとるケースも多い。

 加算型でいける物件はないか、改めて物件ファイルを開いてみる。


−5月15日 事務所で悶々−

 「どこぞの団体が地球最後の日と言っていたのが今日だったなぁ。」などと思いながら、作業に入る。

 加算方式でいける物件というのは、一言で言うと「競合がないか若しくは少ないであろう。」と思われる物件である。平たく言うと「人気があまりないであろう物件」となる。具体的には「駅から遠い」「競落後多額の費用が予想される。」ものである。しかし魅力的な物件つまり人気がありそうな物件でも加算方式で入れる場合もある。それは、お客様が急がない場合である。競合するか否かはあくまでも予想に過ぎないのであるから、結果として競合せずに魅力ある物件を低額で落とせる可能性もあるのである。精神的・時間的に余裕のある方は、淡々とこのような入札を繰り返すかたもいる。「ゆとりのある者が有利な勝負をできる。」というのはいずれのビジネスでも同じだろう。

 本件のお客様は既に購入資金を用意されており、「いつでもいい。」という訳にはいかない。故に加算方式で入札するのであれば「競合しそうにない」物件の条件を説明するほかないが、それは本件お客様にとっても魅力的ではないものであろうことは同じである。その後の売却などのことをも考えると目先のこと(価格)だけで判断するのはお勧めできない。ことさら今のデフレ状況下にあっては、交通の便が悪いものなどは賃貸稼動が悪いぶん価格下落リスクが大きい。事務所で一人悶々としていると「お客様に相談しろ。」とアドバイスを先輩から受ける。それもそうだ、最終的に決定するのはお客様である、午後お客様に電話でありのままを説明しようと決め、昼飯にでる。


−5月15日 お客様と電話連絡にて−

加算方式で入札し競落できる可能性の高い物件の条件をお客様に説明をする。直裁に言えば人気の低いものであるから価格下落リスクが大きいとの旨を告げる。お客様は交通の便等の条件が良くなければ賃借人もつきにくいであろうと懸念され、安く買っても運用できなければ意味がないと率直に話される。

そこで、デフレ下であるから物件も購入しやすく且つ低金利の資金を調達できる状況ではあるが、その一方で保有する資産の価格下落は避けなければならないのであり、下落リスクが低いものを購入することことこそが、デフレのメリットを享受しリスクを回避する最善の方法であると説明する。加算方式に拘泥し目先の低価格に飛びつくことは寧ろ「高くつく」可能性が高いとたたみかける。

ここまで話して初めて気が付いたが、私自身は加算方式にするか逆算方式にするかを迷っていなかったのだ。悶々としてたのは「どうやって逆算方式に納得いただくか。」であったことに自分自身で気づく。 

お客様も同意していただき、競合するか否かに腐心するのをやめ、自分の納得できる物件を逆算型で入札することに決める。 

後で聞いた話だが、最初は価格から競売市場に入りその後に物件の個性魅力を重視するようになるのは、その強弱はあるものの競売市場に参加する方の常道だそうである。


−5月16日 事務所にて−

 本日は朝からなんとなく晴れやかな気分である。昨日の悶々が嘘のようである。逆算方式での提案をすることになり、より具体的に競落を意識した入札が可能となったからであろうか、妙に意識が高揚する。これからが本番である。逆算方式は前にも書いたが「+α」をあきらめる以上より競落を期待される。しかし、競落できなかったとしてもこちらとしては「出せる金額いっぱい。」を提示している点では後悔もない。この意味では割り切りがいい。掛値なしの真剣勝負なだけに価格算定にミスが許されない。どの程度の要素を斟酌した計算方式を用意されているかがその勝敗を決するのである。

 逆算方式でいくと、最低競売価格にそんなにしばられなくなるので(もちろん逆算方式でそれを下回れば駄目であるが)対象物件が増える場合が多い(加算方式だと最も高い利回りに拘泥しやすい)。お客様は、そのぶん今度はよく知っている場所をより限定してきた。やはり住み慣れた場所により近いところが安心なのである。


−5月20日 事務所にて−

 今日から閲覧が開始される物件および入札期間が終了していない物件全てを対象にお客様の条件の適合性を精査する。お客様が思い入れの強い地域においては多少利回りを譲ってでも競落して欲しいとのことである。当該地域の物件を捜すと2件ほど条件にあうものが出てきた。そこで現地の周辺の賃料価格を査定し、管理費などの延滞額・保有経費・明渡費用などの取得経費他を総合勘案して入札価格を決める。(ここが重要!)過去の当該地域の同種物件についての競落価格を参考としてどの程度の価格にすれば競落の可能性が高いのかを算出する。(地域によってはかなり利回りをゆずっても競落できない場合もある。)

 入札者が当該地域の将来性をどのように見込んでいるのか如実に顕れる場面である。具体的にはここで記載できないが、本件お客様の希望する地域は一般的に言う人気集中地域ではないので、一般的な算式による。


−5月20日 事務所にて その2−

 逆算方式で特に気を付けなければいけないのは競売物件特有の経費である。競売物件は取得後も延滞管理費や引渡命令等の明渡費用などの経費がかかる。この金額をも計算に入れた上で実質的な利回りを算出することが重要となる。勿論、不確定要素を全て消しこむことは不可能であり幅を持って計算しなければならない。又、築年数・構造などによってはリフォーム費用がかなりの金額となる場合も注意を要する。この客観的な要素と、お客様の当該物件に対する思い入れや「早く手に入れたい」などの主観的要素を総合的に勘案しながら、最終的にはお客様が納得する額で入札を進める。

 今回ピックアップした2件は入札締め切りまで時間的余裕があるので、今後公開される物件と比較しながら検討することをお客様に勧めることにした。


−5月20日 事務所にて その3−


 電話で今回の提案を告げると、お客様より「デフレによる値下がりの危険があるのではないのか。」と問われる。全ての物が今は値下がりの危険があり不動産とてその例外ではない。ことさら不動産は価格が大きいだけにその上下に敏感になるのは当然である。しかし、不動産においては値下がりし難い物件とそうでない物件とがある。その区別は単純明快である。利用価値である。

 バブルの頃は、買えば値上がりすることを誰もが疑わなかった時代であり、場合によっては物件の現場に行かずに購入を決め、その後も現場に行かずに転売をしてしまうようなお客様もいらっしゃったそうである。そのようにその不動産の利用価値を検証することなく転売を繰り返し価格が高騰していったことがその後の歪を生み出すこととなったわけである。しかし、利用価値の高い不動産は客観的な価値を有するのものであり、そうそう値下がりするものではない。例えば、年間に100万円の家賃を産み出す不動産が100万円以下になるはずがないのは断言できる。

 一方で、年間100万円の利息を生み出す貯金は一体いくらぐらいなのかを想起していただきたい。そうするとある程度の価格が想定できる。その意味では、現在の一般の不動産市場(競売物件に限らず)は既に下がりすぎとの評価も可能となるのである。(銀行の利息が下がりすぎなのは言うまでもないが)

 市場というのは必ずしも合理的に動くものではないが、長期的には合理的な価格形成を取り戻すことは歴史的に証明されている。もし仮に15年20年先に現在よりも不動産価格が下がっていると考えるならば、買わないべきである。しかし、仮に同額であったとしたらその間にどの位の家賃を得たのであろうかにも思いをはせて欲しい。自己責任の時代において、「動くリスク」にばかり目が行きがちであるが「動かないリスク」も充分に検証しなければ、時代の利益を享受することはできない。

 本件お客様は、長期保有を目的とし賃料収入の取れる物件をそもそも対象としているため値下がりリスクは最少にとどまる。その旨を告げると一応は納得していただいたようである。


6月13日配信分

 前回値下がりリスクについて書いたが、相続対策を目的とするお客様の場合は、若干赴きを異にする。つまり、現金を賃貸用の不動産に代えておくことによって、形式的に相続財産の評価を下げようとする(貸家建付け地評価)ことが目的であるので、賃料がどの程度とれるのかをあまり重視しないお客様も中にはいらっしゃるのである。そのことから利用価値よりも予算や時期を優先される場合があるが、そうすると値下がリスクは大きくなる。そのような場合でも、せっかくの相続財産が値下がりしてしまっては元も子もないことを説明し当事務所では、利回りも取れるように一挙両得を狙う。そのようなお客様は賃料が安くても空室があるのが拙いのである(空室割合によって貸家建付け地割合などの効果が薄れる)から家賃設定を(相場より)低く抑えることをお勧めする。(相続対策はFP事務所たる当事務所の得意分野である)

 そうは言ってもその間に相続が発生してしまっては大変であるので、その危険があるときは競売物件ではなく普通市場の物件を捜すことをお勧めすることにしている。

 尚、相続対策における不動産購入については、相続時精算制度という贈与税における特例が15年より施行されたので当事務所hpを参考にして欲しい.


−6月9日 事務所−

 今回入札を予定していた3件が3件とも競売取下げになってしまった。今はインターネットで競売取下情報をみることができるので以前よりも効率的ではある。しかし、事前調査や資金準備などの入札前の準備のことを考えると、お客様同様当方もガックリというのが本音である。先般もお伝えしているように、前回も数件の取下げがあり苦汁をなめている。

 最近は競売物件の取下げが多くなってきているような気がする。本来であれば競売案件ではなく話し合いで解決できるものが、その駆け引きの中で競売申立をするものもあるのかもしれない。それによって現場や登記所を走りまわされるこっちはいい迷惑でもある。又、競売物件情報を見て、所有者などに直接アプローチをして直売買もあり得る。先にも記載したが実際に競落価格が最低競売価格を大きく上回ることもあるので、上乗せした金額で直接交渉したほうが手っ取り早いと考える買取人も少なくないのである。全体としては取下げは多くはないのであるが、我々から見て価値のあるものはやはり、何らかの手段で横から入られる可能性が高い。

事務所において今週中に方針を決める会議をする予定である。



−6月11日 事務所−

 先般の取下げを受けて事務所で会議。

 私から、その物件を選んだ理由を説明すると同時に今回の公開物件のほかの取下げ状況も説明する。客観的な取下げ要因と思われること及び当該物件の三点セットの中から拾い出せるものを全てだし今後の検討要因とする。大まかに言えば今後不動産が値上がりに転じそうな経済環境であれば、取り下げ要因になるし、該物件に安定したテナントがついていたりしてもしかりである。要するに魅力的な物件ほど取り下げられる可能性が高いのである。その意味で今回全部取り下げられた私はある意味で「見る目があった。」と自負するが、そんなことはお客様にとっては何の利益にもならない。

 「日本だけでなく他の国の経済状況を勘案しても、すぐさま日本の不動産が値上がりに転じるとの要因は今のところ見当たらない。」「たしかに、ペイオフなどの影響により競売物件を求める範囲が以前にまして広くなりマーケットとして機能しつつある。」「しかし、そのことが場合によっては競売物件に対し過熱気味に反応することもあるのかもしれない。」と事務所では共通認識とした。

 よって、従来どおり利回りを優先とし、取り下げ等の事例が一時的に発生したとしても、こちらから高値に迎えに行くようなことは当面しない、との結論に至った。


−6月12日−


 お客様に今回の全て取下げと言う結果を伝えるとともに、その経緯及び考えられる要因をお知らせする。昨日の事務所での会議の内容も説明をし理解を求める。本件お客様は、既に資金準備をしており、生活安定資金を得るための収益物件の取得を早く入手したいと考えている。しかし、当事務所としての状況分析つまり「直ちに不動産が価格上昇に転じる状況ではない。」「物件によっては少々過熱気味の競落価格になっている。」との見解はお客様自身の考えと一致するものであった。

 お客様と今後のことを検討するが、「価格上昇を期待する状況にない以上利回りを顧慮しないような価格によって取得することは意味が無いばかりか価格下落リスクを負担するにことになるため絶対に避けなければならない。」とのことで合意をし、競売市場の状況として必ずしも競落の可能性が高くなくとも、今までどおり「利回りを重視した生活安定資金確保のための物件。」を対象に調査入札を繰り返す方針を再確認をした。


−6月20日 物件選び−

 お客様と方針を再確認した後、この1週間で、10以上の物件を調査をし、そのうちの4件について現場に赴き調査をした。当事務所の調査は先ず3点セット(物件明細・現況調査報告書・評価書)によって条件に合致するものを、現場で見聞・登記所・役場での調査と経る。現場へ行ってみないと分からないことがたくさんある。例えば今回の案件のひとつは、駅より近くて好条件と考え現場へ行ってみると、新幹線の高架の下で騒音や日照の点で大きな問題をもっていた。また、マンションなどの管理状況は現況調査報告書に一応の記載はあるが、実際に行ってみると予想に反するものも少なくない。これは、裁判所の人間が現場に行く回数が少ない事にも起因するが、そもそも古い物件はある程度の汚れなどは「通常」記載されることが多いようにも見受けられる。えてして経年の多いマンションの「通常」はおどろかされるものが多い。

 また、現場へ行ってみることによって周囲の雰囲気も分かりやすく、高級住宅街であれば、高額賃貸住居の需要もあるであろうし、思い切ってトランクルームへの改造などへの切替も検討できたりする


−6月20日 物件選び その2−

 書面の段階でも気を付ける点も勿論たくさんある。生活安定資金確保のための運用物件であれば、築年数と構造を先ず検証する。例えば、木造で30年以上経っているものであれば、殆ど賃貸物件としては機能しないであろうし、賃貸に出すとしても多額の改装費用を要する事になる。建物の種類や間とり図にも注意を要する。例えば住宅地にある作業所や倉庫などと言うものでは、賃貸物件として運用するのはやはり多額の費用がかかるからである。駅より近い事務所ビルを改造し賃貸住宅として運用することが近時話題になっているが、水周りなどの点で困難ないし多額の費用を伴うこともあり、事前に確認をする必要がある。

 占有関係については、シンプルであるにこしたことはないが、競売物件は大なり小なりこの煩雑さは免れられない。当事務所のような専門家を使うことによって解決するのが時間的・精神的・金銭的に結局は一番効率的である。それでも多くの時間を要する占有関係もあるが、これはいたちごっこのようなものであり、避けるべき占有関係を明示すればそのような事実上の競落妨害がはびこる結果となるため、ここで明示することは避ける。


−6月20日 物件選び その3−

 立地の点での注意点を今回は記載する。

 当事務所は司法書士事務所でありFP事務所であることから、お客様の殆どは生活安定資金確保の為の資産運用物件の取得を目的としている。つまり、転売目的や自己使用目的取得のお客様はあまりいない。

 このことから、当事務所が物件を探す条件は賃貸物件として優良であることが最優先となる。故に、私鉄沿線のバス便であるなどの立地は、最初の段階で除外する。賃貸物件であれば住居・事務所・店舗を問わないが、注意を要するのが店舗である。現在賃料が高くても、空いた場合のリスクが大きく、共益費用が多額の場合がある。賃貸住宅も都心回帰の現象は否めず立地的にもますます限定されている。この点は、ハッキリとターゲットを絞って当初より予定するべきである。独身者狙いのワンルームであればかなり交通の便は重要な要素となってくるし、ファミリーであれば間取りが重要な要素となり交通の便は多少譲歩できる。社会人と学生でも相違は出てくる、社会人であれば複数の駅利用は大きなメリットとなるが、学生は大学と繁華街の中間ぐらいが一番の人気である。


−7月1日−

 とうとう、競売体験記も30回を超え、期間にして3ヶ月を経過した。当初の思惑では、今ごろは占有者との交渉経過などをご報告している予定であった。しかし、それがライブ報告の辛いところで、未だに競落を果たしていない。

 のっけからこんなことを書くのも実はマタマタ、入札予定物件が入札期間を待たずに取り下げられてしまったからである。今回の物件は道路付けが悪く再築の時に手数がかかる物件であったため入札数はあまり多くないのではないのかと期待していた矢先の取り下げである。読む人が読めば分かるであろうが今回は神楽坂のアパートを狙っていた。

 これを読んでいる不動産業者の方も同様であろうが、最近マンションデベロッパーからの用地買収の連絡が頻繁に入る。おそらく、これらの業者が土地つきの物件を購入し用地として使用することを目途として競売物件も買いに入っているのであろう。一定規模の土地がついている物件の取り下げ率が上がっていることを実感する。


− 7月9日 −

 先日の取下げ後、予め次候補として準備していたものがあり、本日入札期限の当該物件を入札する。(落胆してチャンスを逸っしていてはお客様に申し訳ない。)朝一番に、三井住友銀行目黒支店に赴き、保証金を振り込み、受取書を証明書に貼付して入札に向かう。この支店は一方通行の広い道に面しており駅前の支店にしては駐車場所を見つけやすい。来客用の立体駐車場もあるが旧型のものであり大型車は入らない。駐車場を出て店を一周する形できびすを返し裁判所へ向かうが、道は一本なので分かりやすい。

 2階の受付では書面のチェックを受けるが、「証明書に銀行の領収印の押された振込証明が貼られているか、その金額は正当なものか、記載の整合性はあるか、返金口座は記載されているか、添付した住民票ないしは法人登記簿謄本と記載が一致しているか、所定の押印はあるか」等など形式的なことを簡単にするのみである。もちろん予め封印された入札書の入った封筒はその場で開封することはなく、外面に記載された事件番号をチェックするのみである。経た後、受取書を手渡され、入札の手続きは完了である。

 今回のお客様についての入札準備は既に二桁を越える物件に為したが、その半数以上が入札を待たずに取り下げられているので、今回はまずは一段落である。あとは、16日の開札を待つばかりである。


−7月14日 事務所にて−


 前回記載したように、今回入札の物件は16日に開札である。競売物件は、こちらだけの都合ではどうにもならないので、常に次善策三善策を用意しておかなければならない。今までの経験上は、最も気に入った物件というものは開札を待たずに競売自体を取り下げられることが多い。もちろん、自宅の隣地のように値段に拘わらず入手したい物件であれば公開と同時に所有者及びその債権者に直接交渉して入手する方法もある。更には、公開前に配当要求の段階で、直接交渉により任意売却とする方法もある。競売の目的は債務整理であり購入者もその道具に過ぎないので、厚遇は期待できない。何件も現地調査を経て価格設定をしても、取り下げられればそれまでである。恒常的な供給源として期待するのは難しいため、一般の方の入札者は増えたのに比して企業者の入札者は減ってきているのが現実である。果てさて今回は吉と出るか凶とでるか、16日が楽しみである。


−7月16日−


 入札していた本日開札の物件は取下げられることなく無事に開札日を迎えた。相当数の入札の結果残念ながら他の法人が落札をした。予想した落札価格より相当高額であった。地域性や現場環境転用可能性から重複したとしてもそれほどは値が上がらないと予想されたが、結果は異なった。中古物件は競落後立て替えることを目的としてデベロッパーが高値入札をしていることは先般記載したが、今回はそのような転用が出来るものではないものを入札した。価格で負けたのだから仕方がない。お客様も入札価格以上で入手したとしても意味がないのでさっぱりしたものである。ネクストである。淡々と条件に合うものの検索をし直す。なんだか最近は気分の切り替えに自分でも慣れてきたと思う。漏らさずに仕事をして一喜一憂しないことだ・・・・・。でも残念


−7月28日 事務所にて−


 1週間のごぶさたになってしまった。この間もお客様と次回入札物件については打ち合わせはしており、次回の入札物件も決めている。その物件は8月になるために、それまでの経緯を記載しても今までの記載と重複するために、掲載を見合わせた。いよいよ暑くなってきたが、勝負はまだ決まらない。又、近時言われているように物件によっては、一般市場よりも高値がつく場合もあり注意しなければならない。あくまでも迎えに行くのではなくこちらの条件で待つのである。このことから時間をあせってはならないのである。故に少々予想よりも時間がかかるケースがままあり、そのことをあせってはいけない。と常に自分に言い聞かせている。状況はどうあれ、お客様の条件は堅持し待つのみ、入札は粛々と繰り返すのだ。次回は新展開とともに掲載します。



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